NO67 ドクターは言いました 『ご臨終です・・・』
団塊おじさんの90歳の父親は「あっち」に逝ってしまいました。眠るように静かに苦しむことなくその日の朝を迎えました。
「ちょっときてくれる? おじいちゃんの様子がおかしいんやけど・・・」危篤状態を脱してから二週間、家族の間にも緊張感が少し緩み、お毎日の看護生活にもリズムが出来てきた頃でした。
電話の84歳の母親の声は、落ち着いていました。「待ってて、すぐに行くから・・・」
四軒となりの90歳の父と84歳の母の住む家に飛んで行きました。ベットに寝ている父は静かでした。
「冷たいんと違う?おじいちゃん。」母親は言いました。あたまに手を当てて診ました。今までとは違うように感じました。呼びかけても、反応がまったくありません。
すぐに電話機に飛びつきました。クリニックのお医者様の携帯電話から「すぐに行きます」といういつもの声が返ってきました。
看護師さんが来てくれたのは、電話をしてから10分も経ちませんでした。いつもの看護師さんです。少しあちこち触って脈をとり、私達家族に言いました。
「もうじきドクターが来ます。しばらく待っていてください」。
家族は、生きているのか?、死んでしまったのか?が早く知りたいのですが、いつもの看護師さんは 「その言葉」は言ってくれません。
ピーンと張り詰めた空気となりました。ドクターが来るまでのわずかの時間がとても長く感じられました。誰も父の顔をじっと見ながら一言も言葉を発しません。
ドクターが来ました。聴診器を取り出し、脈拍・心臓音・眼の瞳孔など次々と確認されました。
「おじいちゃんは白内障や緑内障の手術はしたの?」何でも手術した人は瞳孔での確認がしづらいとの事です。
ドクターは言いました「ご臨終です」時計を見ながら「死亡の確認が今出来たので、死亡時刻は今の時間とします。よろしいですか?」
「はい」といいながら、とうとうその日が来た と思いました。今までの事が本当に走馬灯のように浮かびました。不思議と涙はありませんでした。ただじっと穏やかな父の顔を見続けました。
こころは青春の団塊おじさんでした
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