遺言に関して疑問がある方へ
遺言に関してよくある疑問をQ&Aの形でまとめています。京都にある当事務所にご相談の際にも弁護士にご質問いただけますので、ご不明点等がありましたらお話しください。
遺言のことが知りたい方へ
遺言に関するお役立ち情報を、こちらにまとめています。遺言の作成をお考えの方は、一度ご覧ください。また、何かわからないことがありましたら、当法人までどうぞお気軽にご相談ください。
遺言を作っておくべき人
1 本来は全員が遺言を作成すべきですが・・・
法律的には、遺言を作成するかどうかは、任意にということになっています。
しかし、遺言があると、様々な場面でメリットがあります。
たとえば、相続人同士のもめ事を防止したり、相続手続を簡単にできたりといったメリットがあります。
そのため、誰しも、自分の相続に備えて、遺言は作成しておくべきと言えるでしょう。
そうは言っても、「本当に自分に必要なのだろうか」と思ってしまう方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、今回は、特に遺言を作成すべきケースについて、ご説明します。
2 不動産をお持ちの場合
日本では持ち家率が比較的高いため、マンションの一室や、一軒家などのご自宅を所有している方は多くいらっしゃいます。
しかし、相続の場面では、不動産は、扱いが難しい財産の1つと言えます。
不動産は、預貯金や株式と違って、分けることが簡単ではありません。
また、不動産を所有していて、ローンの返済も終わっている場合、相続税申告が必要なケースがあります。
相続税申告は相続発生から10カ月以内であるため、原則としてその10か月以内に遺産の分け方まで決めなければなりません。
そのため、あらかじめ不動産の分け方を決めておくことができる遺言は、非常に便利な存在です。
3 お子様が結婚している場合
相続人同士で、遺産の分け方を話し合う場合であれば、話し合いがこじれないことも多くあります。
しかし、遺産の分け方の話し合いに、相続人以外の方が意見を出すようになると、話がややこしくなりがちです。
特に、相続人の配偶者同士が、遠慮のない意見をぶつけ合って、収拾がつかなくなるということもあります。
たとえば、長男と二男では争いがなくても、各々の配偶者の仲が険悪といった事情がある場合は、遺産の分け方がなかなか決まらないこともあるでしょう。
遺言があれば、遺産の分け方で話し合いをする必要がなくなります。
4 お子様がいらっしゃらない場合
子がいない夫婦の夫が亡くなった場合、相続人は妻と夫の両親です。
夫の両親が他界している場合は、夫の兄弟が相続人になります。
妻から見れば、ついつい遠慮してしまいがちな方々と、遺産の分け方について話し合いをするというのは、心理的負担が多いでしょう。
そのため、お子様がいらっしゃらないご夫婦は、お互いに遺言を作成しておくと安心です。
遺言の作成に必要な費用
1 費用0円でも、遺言の作成は可能
遺言には、いくつか種類がありますが、一番安上がりな方法として、自筆で作成する遺言があります。
自筆で作成する場合は、筆記用具と印鑑さえあれば、いつでも、どこでも遺言の作成が可能です。
もっとも、自筆で遺言を作成する場合は、守らなければならない決まりがたくさんありますので、しっかりと法律の決まりを調査した上で、作成する必要があります。
2 専門家に相談した場合の費用
法律に詳しくない方が遺言の作成をした場合、法律の決まりを守っていない遺言が出来上がってしまい、その遺言が無効になってしまう可能性があります。
そこで、弁護士等の専門家に相談することが重要になってきます。
専門家に相談する場合は、相談料が必要になるケースがあるため、まずは無料で相談している事務所に相談することをお勧めします。
3 専門家に遺言の作成を依頼した場合
遺言の作成の方法として、専門家に遺言の案を作ってもらい、それを書き写すという形で、自筆の遺言を作成することがあります。
遺言は、ただ作成するだけでなく、相続発生後に預金を解約したり、不動産の名義変更をできるような法的な文言で作成する必要があるため、その文案の作成を専門家に任せるというケースです。
その場合、専門家に遺言の文案作成の費用を支払うことになります。
費用は、事務所ごとに異なるため、ホームページなどでチェックしましょう。
4 遺言作成のための資料を集める費用
遺言を作成する場合、遺言作成の資料が必要になることが多くあります。
たとえば、不動産をお持ちの方であれば、登記簿謄本などの資料が必要になります。
また、遺産を相続させる方の戸籍上の氏名や生年月日を確認するため、戸籍謄本を取得することもあります。
そういった資料を取り寄せる際は、役所に支払う手数料が必要になります。
5 公証人に支払う費用
遺言を公証役場で公正証書にする場合、公証人に手数料を支払うことになります。
公証人に支払う手数料は、財産の多さや、財産を渡したい人の人数で異なってくるため、公証役場のホームページで確認が必要です。
専門家に依頼した場合の遺言の作成方法
1 2つの作成方法
遺言書を専門家に依頼した場合、専門家は主に2つの方法を検討します。
1つは、遺言を残したいと考えた方に、自筆で遺言書を作成していただく方法です。
もう1つは、公証役場で公正証書を作成する方法です。
どちらの方法も、長所や短所がありますが、どんな場合に、どちらの方法がいいのかは、その時の状況によって変わります。
そのため、専門家は、まずどちらの遺言書が適切なのかを判断するために、聴き取りをさせていただきます。
2 遺言書作成の趣旨を決める
目的もなく、遺言書を作る人はおらず、必ず何かしらの目的を持って遺言書を作成するはずです。
たとえば、先代の相続では家族間で紛争が起きてしまったため、今回は紛争を起こさないために、遺言書を作成するという場合があります。
また、老後のお世話をしてくれた方に、多く遺産を渡したいという場合もあります。
しかし、その目的によって、どのような遺言書が適切なのかが異なってきます。
そこで、遺言書の作成をするにあたって、最も重要なことは、何のために遺言書を作成するのか、ということをしっかりと決めておくことです。
3 遺言の作成のために資料を集める
遺言をするためには、正確な情報が必要です。
相続人は何人いるのか、どのような財産を持っているのかなどの情報がなければ、適切な遺言はできません。
そのため、例えば戸籍謄本や、通帳、登記簿謄本などの資料が必要になります。
4 後で遺言が無効にならないための対策
遺言の内容によっては、相続人の人が不満を持ち「この遺言は無効だ」と主張する場合があります。
そういった場合に備えて、専門家は、遺言が無効にならないための対策を講じます。
たとえば、「当時は認知症だったはずだ」といった主張がなされないよう、病院で意思の診断書を取ったり、問題なく会話ができる様子を映像に残しておくといった方法があります。
特に、手書きの遺言を作成する場合は、法律のルールを守らないと無効になってしまうため、しっかりと文献や判例を調査の上、遺言の作成を行います。
弁護士に遺言の相談をする流れ
1 遺言の目的を決める
どのような遺言を行うかは、どんな目的で遺言を作るかによって異なります。
たとえば、介護を頑張ってくれた同居の長女に、家を相続させたいと考えた場合、「家を長女に相続させる」という記載は必ず必要になりますが、それだけでは足りません。
家という高価な不動産を相続させた以上、他の相続人に一定額の預貯金などを相続させないと、相続人間で争いが生じてしまう可能性があります。
このように、遺言の内容は、遺言の目的に従って、細かく遺産の配分を決めていく必要があります。
そのため、まずは遺言を行う目的を明確にしましょう。
2 遺言を得意とする弁護士を探す
遺言に詳しくない弁護士が、遺言の作成に関与し、結果的に遺言の効力について裁判を起こされてしまっては、遺言を作った意味がありません。
そのため、遺言を作成する場合は、「どんな場合に裁判が起きてしまうのか」を把握することが大切です。
しかし、遺言に関する裁判に詳しい弁護士は、必ずしも多くはありません。
そこで、遺言の相談をする場合は、遺言に関する案件を得意としており、裁判についても知識のある弁護士に相談することが大切です。
3 相談前の準備
遺言を作成するためには、だれにどんな財産を相続させるのかを決める必要があります。
そのため、まずはどんな財産を持っているのかを、改めて確認しましょう。
不動産をお持ちなら、固定資産税評価証明書を取得したり、預貯金をお持ちなら、記帳をして残高を確認すると、財産の内容が明確になります。
4 相談の予約
弁護士の事務所に電話やメールで、相談の予約をしましょう。
その際、家族構成や、所有している財産の内容を大まかに伝えると、後日の相談がスムーズに進みます。
また、相談の予約をする際は、相談料が無料なのかどうかもチェックしておきましょう。
5 相談当日
用意した資料を持って、事務所で弁護士と相談をすることになります。
相談者様の意向を伺った上で、弁護士がどのような遺言を作成するべきかについて、アドバイスをさせていただきます。
また、手書きの遺言がいいのか、公正証書にするのがいいのかなど、適切な遺言の方法についても、ご説明します。
遺言で困った場合の相談先
1 遺言を作るためには裁判のノウハウが必要です
遺言と裁判のノウハウは、あまり関係がないことと思われがちです。
しかし、裁判のノウハウを知らなければ、適切な遺言の作成は困難です。
たとえば、遺言を作成した方は、「これで残された家族が、遺産についてもめることはない」と考えるかもしれません。
しかし、実際には、遺言に関する裁判は日本中で行われています。
裁判になった例を見ると、後々の争いを防止するために必要な文言が記載されていなかったり、遺言が有効であることの証拠を残しておかなかったりと、不適切な遺言が散見されます。
遺言に関する裁判を防ぐためには、どのような遺言があると、裁判になるのかという点を深く知っている必要があります。
2 遺言の裁判を扱っていない専門家には注意が必要
先ほどご説明した「不適切な遺言」の中には、専門家が遺言の作成に関与しているものも多くあります。
つまり、専門家が遺言の作成をサポートしていても、あとで裁判になるケースは少なくないのです。
その理由として、遺言の作成は多く扱っていても、遺言に関する裁判を扱っていない専門家が関与していた可能性があります。
遺言の作成を依頼する場合は、遺言に関する裁判を扱っている専門家に相談することが大切です。
3 民間資格者や銀行には注意が必要
民間資格者や銀行は、法律に関する国家資格を有していません。
そのため、そもそも遺言に詳しいかどうかも分からないことが多くあります。
また、民間資格者や銀行は、遺言に関する裁判を扱うことができないため、遺言に関する裁判に詳しいとは限りません。
さらに根本的な問題として、「どのような遺言を作成するか」という相談を受けることができるのは、一定の国家資格を持つ者に限定されています。
そのため、相談先が民間資格者や銀行である場合は、その相談自体が法律違反になっている可能性もあるため、注意が必要です。
4 ご相談は弁護士法人心へ
以上でご説明したとおり、遺言の相談をする場合は、①遺言に詳しく、②遺言に関する裁判を扱っており、③遺言の相談を扱うことができる資格を持つ専門家に相談することが重要です。
遺言のご相談をお考えであれば、当事務所にご相談ください。
遺言を依頼する場合の専門家の選び方
1 遺言の相談は弁護士に
遺言書の作成をしようと思ったとき、相談先として思い浮かぶのは弁護士、司法書士、行政書士などの士業だと思います。
これらの資格者の中で、どの専門家に相談することが適切なのか、判断に迷う方もいらっしゃるかもしれません。
ここでは、遺言の相談を弁護士に行うべき理由について、ご説明します。
2 遺言全般についてアドバイスができるのは弁護士だけ
遺言書を、「ただ何となく作る」と、後々トラブルが起きる可能性があります。
そこで、以下の点について注意しつつ遺言書を作成する必要があります。
⑴ 遺留分の問題
特定の相続人に対して、多くの遺産を渡す場合、他の相続人に遺留分が発生する可能性があります。
仮に遺留分が発生すれば、家族間で裁判等に発展する可能性があります。
遺留分について相談受けたり、裁判を行うことができるのは、原則として弁護士のみです。
そのため、遺留分の問題について、最も的確にアドバイスができるのは弁護士であると言えます。
⑵ 遺言の無効の裁判
遺言内容によっては、「遺言が無効だ」という裁判に発展する可能性があります。
遺言が無効だという裁判を扱うことができるのは、原則として弁護士だけです。
そのため、どのような遺言書を作成すると、裁判になりやすいのかという点からアドバイスができるのは、弁護士が適任です。
⑶ 遺言執行に関する裁判
相続発生後は、遺言書に記載されている事柄を、実現するための手続きが必要です。
この手続きのことを遺言執行といい、遺言執行を行う人のことを遺言執行者といいます。
遺言執行者は、法に定められたルールに従い、不動産の名義を変更したり、場合によっては、裁判等も行う必要があります。
また、反対に遺言執行者が裁判を起こされることもあります。
こういった遺言執行を巡る裁判を扱うことができるのは、原則として弁護士だけです。
3 弁護士と他の専門家の違いのまとめ
以上でご説明したとおり、遺言書の作成は、様々な裁判のことを考えつつ行う必要があります。
しかし、裁判を扱うことができるのは原則として弁護士だけです。
そのため、遺言に関する相談のトータルサポートは、弁護士が最も適していると言えます。
遺言の相談は,遺言に強い弁護士に
1 全ての弁護士が、遺言に強いとは限らない
遺言は、ご家族に遺す最後の言葉という一面があります。
その内容次第で、ご家族が遺産を巡って争うことを防ぐこともできるため、遺言書の作成はとても大切です。
しかし、遺言書の作成は、多くの法律分野の1つに過ぎないため、弁護士であっても詳しいとは限りません。
そのため、遺言書を作成する場合は、遺言に強い弁護士に相談することが大切です。
2 遺言に詳しくない専門家に相談した時の失敗例
⑴ 子が先に亡くなることを想定していない遺言書
ご家族が、必ずしも年齢順に亡くなるとは限りません。
事故や病気などで、子や孫が先に亡くなってしまうことがあります。
そのため、「もし、親より先に子が亡くなった場合」に、遺産を誰に取得させるかを遺言書に記載しておかないと、相続人同士で遺産の分け方を話し合わなければならなくなります。
⑵ 相続税のことを考えていない遺言書
遺産を誰が取得するかによって、相続税が大きく変わることがあります。
たとえば、配偶者が遺産を相続すれば、相続税を大幅に安くすることが可能ですが、その配偶者が亡くなった時のことを考えると、むしろ配偶者に相続させない方がよかったというケースもあります。
他にも、孫養子に多くの遺産を残したいと考え、遺産のほとんどを孫養子に相続させた場合、相続税が2割加算されてしまいます。
3 遺言の相談は,遺言に強い弁護士に
遺言で失敗しないためには、遺言に強い弁護士に相談することが大切です。
遺言に強い弁護士の特徴として、相続の案件を多く扱っているということがあげられます。
相続の案件を多く扱っている弁護士であれば、遺言に関する裁判を多く扱っており、どのような遺言書であれば、どんな問題が起きやすくなるのかということを把握しています。
そのため、遺言を巡る裁判が起きないよう、適切なアドバイスが可能です。
また、遺言に強い弁護士は、税金にも詳しいという特徴があります。
上記でもご説明したとおり、遺言の内容によって、相続税が大きく変わる可能性があります。
そのため、遺言に強い弁護士は、弁護士兼税理士として業務を行っていたり、同じグループ内の税理士とチームを組んで、税金面も考慮した上で、遺言の内容を提案できます。
自筆証書遺言で失敗しないために
1 自筆証書遺言は3つの意味で無効になりやすい遺言です
自筆証書遺言は、15歳以上であれば、誰でも作成することができます。
自筆証書遺言は、紙とペンさえあれば、いつでも作成できる手軽さがあります。
そのため、自筆証書遺言を作成されている方は、意外と多いのですが、専門家のアドバイスを受けなかったため、後で無効になってしまうケースも少なくありません。
実際に、裁判所では、遺言書の無効を巡って何度も裁判が行われています。
自筆証書遺言が無効になるケースは大きく3つのパターンがありますので、詳しくご説明いたします。
2 自筆証書遺言が、形式面で無効になるパターン
たとえば、自筆証書遺言を作成する場合、必ず日付が必要です。
そのため、日付がない遺言書は無効になります。
仮に日付が書いてあっても「吉日」など、具体的な日付が特定できない場合は、遺言書は無効になります。
このように、遺言書作成について、法律で定められたルールを守っていないと、遺言書は形式面で無効になってしまいます。
3 自筆証書遺言が、内容面で無効になるパターン
遺言書は、どの遺産を誰に渡すかを特定できるよう、作成する必要があります。
たとえば、「私の大切な宝物を、受け継ぐにふさわしい人間に、託します」といった遺言書を作成した場合は、どうなるでしょうか。
まず「私の大切な宝物」という言葉が、何を指しているのかが不明確です。
次に、「受け継ぐにふさわしい人間」という言葉が、誰を指しているのかが不明確です。
最後に、「託します」という言葉は、財産の所有権を受け継がせるのか、管理だけを任せて、別の人に所有権を渡すのかが不明確です。
このように、遺言書の内容が特定できないような遺言書は、内容面で無効ということになります。
また、「私の全財産を京都に寄付する」といった遺言書であれば、寄付する先が京都府なのか、京都市なのかが分からず、特定ができないと判断される可能性があります。
4 本人が自筆証書遺言を書いたことを証明できず、無効になるパターン
自筆証書遺言は、あくまで遺言者本人が作成する必要があります。
別人が勝手に作成することはもちろん、代筆さえ認められていません。
そのため、自筆証書遺言が有効であると主張する場合は、「この遺言書は間違いなく本人が作成したものだ」という証明をする必要があります。
こういったケースで、「筆跡鑑定をすれば大丈夫」と考えている方は、注意が必要です。
DNA鑑定のように、科学的にほぼ間違いがないであろうことが証明されている証拠と異なり、筆跡鑑定は、そこまで証明力が高い証拠ではありません。
本人が作成したことを証明するためには、遺言書を作成するところを録画するなど、後で裁判になった場合を想定した証拠集めが不可欠です。
5 遺言のお悩みは弁護士へご相談ください
このように、自筆証書遺言はさまざまな原因から無効になってしまう可能性があります。
せっかく作成された遺言が無効になってしまわないようにするためにも、遺言の作成をお考えの方は弁護士法人心へご相談ください。
形式面が有効であることはもちろん、内容面もより充実した遺言になるよう、弁護士がサポートさせていただきます。